＜東日本大震災２年＞喜ぶんでねえか／住民に絆できた（その１） ３人眠る墓地一帯、花畑にいとおしい家族、親しい友人、大切な仲間……。かけがえのない人たちを失ってから２年がたった,マジコン 通販 ミュンヘンのアウディトレーニングセンターに S5 エクスクルーシブ［写真蔵］。１１年３月１１日午後２時４６分に発生した東日本大震災。犠牲者を悼み、被災地だけでなく全国各地で祈りがささげられた。多くの人が、悲しみや悔しさに向き合うとともに、「これからも生きていくよ」と約束した。
◇３人眠る墓地一帯、花畑に－－妻と孫２人失った、宮城・石巻の佐藤富士夫さん（６４）
灰色の小鳥が１羽、妻と孫２人が眠る墓の前に舞い降りた。１１日の寒い朝、宮城県石巻市北上町十三浜の農業、佐藤富士夫さん（６４）は、津波で流された自宅近くの墓地で花の苗を植えていた。「きょうはいろんな人が拝んでけれっからな」。３人に話しかけた。
２年前、佐藤さんは自宅の庭先で揺れに襲われた。妻成子（せいこ）さん（当時５８歳）は、一緒に暮らす吉浜小１年の孫娘杏慈（あんじ）ちゃん（同７歳）がいつも宿題をしながら迎えを待つ同小隣の市北上総合支所へ行ったようだった。杏慈ちゃんの兄で同小４年の帆高（ほだか）君（同１０歳）もそこへ逃げたはずだ。震災の５年前に新設された２階建ての支所は市の指定避難所。「あそこなら安全だ」。佐藤さんは両親と高台のトンネルに逃げた。
夜明けを待って３人を迎えに行き、目を疑った。支所は全壊していた。泣きながら３人の名を呼んで捜し歩いた。駐車場に杏慈ちゃんの小さな亡きがらが大人たちの遺体と一緒に並べられていた。帆高君と成子さんとは、１～２週間後に遺体安置所で対面した。
支所では逃げ込んだ住民と市職員の計５４人が死亡・行方不明となった。「あんな情けねえことなかった。『津波が来ても大丈夫だ』って、ずっと家族に言ってたんだ」
初盆を前に、がれきの下に倒れていた先祖代々の墓石を元に戻し、３人の納骨をした。墓の周りは津波をかぶって荒れていた。１１年１１月、佐藤さんは周りに菜の花の種をまくことにした。「仏さんへの償いっていうのかなあ。お墓の周りを花でいっぱいにしてやりてえと思ったんだ」
両親が東京の弟に引き取られるなどして、佐藤さんは三男公彦さん（３０）と２人で仮設住宅に暮らす。農協理事に加え、仮設住宅の自治会長、市のまちづくり委員長も引き受け、忙しい。だがスーパーで一人、梅干しや納豆を買っていると、料理上手だった妻をふと思い出す。小中学生を見れば孫たちの成長した姿を想像した。「日がたてばたつほど思い出して。段々悲しくなってくるんだ」
墓前に毎日通った。声がよく届くように墓石に額をつけて「来たよ」と大声で呼んだ。３人が眠るそばで種をまくと、ざわつく心が静まる気がした。いつしか種をまいた範囲は約５００平方メートルの広さになった。河原から石を運んで道を作り、昨年末には黄や紫のパンジーを植えて３人の名を花文字で描いた。
最近、３人が自分を「生かしてくれたのかな」と思う。３人の無事をあれほど信じ切れなかったら、自分は必死で逃げなかっただろう。花を育て、そばで３人を見守ることが、これからの自分の務めだと思えてきた。
今月、チューリップとユリの球根を植えた。コスモスの種もまこう,moncler ベスト 今後も継続していく」と強調した。いつか色とりどりの花で墓地一帯を埋めるのが佐藤さんの夢だ。「花がいっぱい咲いて、鳥っこがいっぱい来たら美しいべ。３人も喜ぶんでねえかな」
もうすぐ花が一面に咲き、３人を優しく包んでくれるだろう。春が待ち遠しい。【林奈緒美】【関連記事】 東日本大震災２年：喜ぶんでねえか／住民に絆できた（その１） ３人眠る墓地一帯、花畑に インサイド：逆境を越えて 被災地のスポーツ再生／１ 東日本大震災２年：ＷＢＣ日本代表、犠牲者悼んで黙とう 私たちの戦いぶりが少しでも力になれば… どうぶつナビ：福島で離れ離れになったペットたちは 時代を駆ける：東日本大震災２年 武内宏之／１ 手書き新聞の精神、今も
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