2013年1月7日星期一

2012年を代表するノートPC“10選”

2012年を代表するノートPC“10選”
2012年は、第3世代Core(開発コード名:Ivy Bridge)、高画素密度のIPS液晶ディスプレイ、そしてタッチ操作を重視したWindows 8と、キーテクノロジーがどっと押し寄せ、革新的なノートPCが次々と登場した。まさに激動の1年だったといえる。

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 それでは、個人的に強く印象に残った合計10のモデルを取り上げつつ、この1年の業界動向を振り返っていこう。

●未来を先取りした「15インチMacBook Pro Retina」

 「これは2年先、3年先のPCの画面だな」――そう感じずにはいられなかった。アップルが6月に発売した「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」の美しい表示は、それほどまでに感動的だ。画素密度の数値(約220ppi)は、iPadやiPhoneのRetinaディスプレイに比べればだいぶ劣るのだが、それでも15.4型ワイドの大画面で見るRetinaクオリティの臨場感は別格に違いない。

 2012年前半、最も強い存在感を放ったのは、この15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデルだった。とにかく写真や映像の美しさは文章で表現しきれないほど。これで精細なカラーPDFデータなどを見ると、いよいよ雑誌類の電子書籍化も実用的な段階に来ていると改めて意識する。10月には13インチモデルもラインアップに加わり、2012年もアップルはディスプレイの高画素密度化に積極的だった。

 Windows PCにおいては、Retinaディスプレイのようなアプローチはまだ本格化していないが、それでも画面の高画素密度化と表示品質の向上は着実に進んでいる。13型はもちろん、11型や12型のクラスでもIPS方式のフルHD液晶ディスプレイを備えたPCは複数販売され、高画素密度ならではの精細な表示を体感できる製品が少しずつ増えてきた。

 この高画素密度はもはやスマートフォンやタブレットでは欠かせない要素になりつつあるが、これからはWindowsノートPCでもそうなってくるだろう。そしてこの流れは、アプリケーションの設計やコンテンツのあり方にも大きな影響を与えることになる。

●軽量志向を極めたUltrabook「LaVie Z」

 Retinaディスプレイ以外で2012年前半の大きな出来事といえば、Ivy Bridgeこと第3世代Coreプロセッサー・ファミリーの登場だ。3Dトランジスタ技術をいち早く採り入れた22ナノメートルのプロセスルールを採用したことで、第2世代Core(開発コード名:Sandy Bridge)以上に電力効率が向上し、高性能かつ省電力になった。

 第3世代Coreにはモバイル向けにTDP(熱設計電力)を下げた超低電圧版も用意され、これを採用する第2世代のUltrabookも誕生。第1世代のUltrabook(Sandy Bridge搭載)では投入を見送っていたメーカーからも魅力的な製品が次々と発売され、国内メーカーの健闘も目を引いた。

 中でも約875グラムという超軽量ボディを引っさげ、NECから8月に発売された13.3型Ultrabook「LaVie Z」のインパクトは絶大だ。この製品のすごさは、単に軽いだけでなく、実用性も現代のモバイルノートPCとしてほぼ完璧に確保したところにある。

 1600×900ドット表示の13.3型ワイド液晶ディスプレイに、キーピッチ約18ミリのキーボードを備え、パームレストも十分にあり、パフォーマンスも他の“重い”Ultrabookに見通りしない。インテルがUltrabookを推進するずっと前から優れたモバイルPCを生み出してきた日本市場においても、ここまでの軽量ボディと実用性を両立した製品は類を見ないといえる。

 特に近年のUltrabookを含めたモバイルノートPCは、薄さや性能はともかく、軽さという点ではあまり進歩していない。Ultrabookも1.2キロ以上ある製品がほとんどだ。軽量化を突き詰めたモバイルノートPCが少なくなってきているだけに、このLaVie Zは実に貴重な存在だ。

●個性的な第2世代Ultrabookが続々――「dynabook R632」「ZENBOOK Prime UX31A」「ThinkPad X1 Carbon」「Floral Kiss」

 同じく軽量志向のUltrabookとしては、東芝の13.3型モデル「dynabook R632」も挙げておきたい。重さは約1.12キロとLaVie Zには及ばないものの、3基のUSBポートやアナログRGB出力、有線LAN、WiMAXを備えるなど、Ultrabookとしては充実した端子類を装備しており、こちらも貴重な存在である。

 そのほか、重さは平凡ながら、いち早くフルHD液晶ディスプレイを搭載しながらリーズナブルにまとめたASUSTeK Computerの13.3型モデル「ZENBOOK Prime UX31A」、最高レベルのキーボードを搭載したレノボ・ジャパンの14型モデル「ThinkPad X1 Carbon」なども魅力的な存在だ。ZENBOOK Primeシリーズには11.6型フルHD液晶ディスプレイを備えた「ZENBOOK Prime UX21A」もある。

 これまでにない製品としては、女性にターゲットを絞った「Floral Kiss」こと富士通の13.3型Ultrabook「FMV LIFEBOOK CH55/J」にも注目したい。富士通は「FMV LIFEBOOK UH75/H」という完成度の高い14型Ultrabookも出したのだが、今回は話題性からこちらを選出した。ボディのカラーだけでなく、排気口やボタン類、マウス、ACアダプタに至る細部まで「女子向けデザイン」を徹底した意欲作だ。

●時代はハイブリッドPCへ――「VAIO Duo 11」「TAICHI21」「XPS 12」

 現在進行形で市場をにぎわせているのが、Windows 8に合わせて登場してきたハイブリッドPCだ。状況に応じて、クラムシェル型ノートとタブレットの両方のスタイルを切り替えながら利用できるPCをこう呼ぶ。

 ハイブリッドボディを実現する方法はさまざまだ。ディスプレイ部をスライドしたり回転させる変形型、タブレットとキーボードユニットで構成される分離・合体型、そして2画面型などバラエティに富んでおり、市場を華やかに彩っている。

 Windows 8はタッチ操作を強く意識し、(iOS端末のように)シンプルかつ滑らかで快適な操作感という概念を採り入れた新しいユーザーインタフェースを導入しつつ、Windows 7までのユーザーインタフェースもそのまま備えるハイブリッド的なOSとなった。これをフルに活用しようとすれば、自然とこういう形になるわけだ。

 中でもソニーの「VAIO Duo 11」は、心地よくワンアクションで変形できる精度の高いスライド機構に加えて、タッチパネルやデジタイザスタイラスも含めた11.6型フルHD液晶ディスプレイの品質が秀逸。これを活用するための多彩なアプリも用意しており、即戦力として活躍できるハイブリッドPCに仕上がっている。ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルではメモリを8Gバイトに増設できる点もメリットだろう。

 ASUSが投入した「TAICHI21」の先進性も見事だ。クラムシェル型ボディのトップカバー内外両面に11.6型フルHD液晶ディスプレイを搭載しており、開いた状態では内側、閉じた状態では外側と、表示画面を切り替えることで、変形なしでクラムシェルとタブレット、どちらのスタイルでも利用できる。外側画面はタッチ操作に加えて筆圧検知のペン入力もこなす。

 2画面の同時表示も可能で、外側の画面に好きな写真や動画を表示するためのソフトもプリインストールしており、実に楽しい。個人的には変形型よりもこちらのアプローチのほうに大きな可能性を感じる。こちらもまた、未来を先取りしている感覚だ。

 もう1つ、ハイブリッドPCからはデルの「XPS 12」も挙げておきたい。画面がフレームを残してクルッと回転するギミックが特徴だが、この液晶ディスプレイはIPS方式の12.5型フルHD液晶ディスプレイで、表示品質が良好だ。さらにメモリ8Gバイトの構成が選択でき、リーズナブルな価格も魅力的に映る。

●大画面モバイルの進化を期待させる「LaVie X」

 2011年末の同企画において、Ivy Bridge世代で発展を期待したのが大画面モバイルノートだ。

 ノートPCは基本的に、モバイル向け、据え置き向けとジャンル分けされ、モバイル向けでは画面サイズや性能を、据え置き向けではバッテリー駆動時間や可搬性を、割り切った形で進化してきた。2011年に取り上げた「VAIO S(SE)」にはそのジャンルの壁を破る可能性を感じたのだが、今回最初に取り上げたMacBook Pro Retinaディスプレイモデルはこの発展型といえるかもしれない。

 さらに、年末になってNECから大画面Ultrabookの「LaVie X」という新星も現れた。IPS方式で15.6型ワイドの大画面フルHD液晶ディスプレイを搭載しながら、12.8ミリ厚という圧倒的な薄さには驚かされる。約1.56キロの重さも15型クラスのノートPCとしては画期的だ。

 これまでこのようなノートPCはほとんどなかっただけに、現状ではニッチな製品かもしれないが、クリエイティブユースを中心に、もっと大画面かつ高性能を手軽に持ち運びたいという潜在需要は小さくないと思われる。今後はさらなる盛り上がりを期待したい。

●Ultrabookには懸念材料も

 最後に、今回選んだ機種はMacBook Pro Retinaディスプレイモデル以外がすべてUltrabookとなったが、Ultrabookであるという条件を意識したわけではなく、あくまで自然に選んだ結果にすぎない。

 むしろ、Ultrabookについては懸念もある。薄さに関する条件(14型以上は21ミリ以下、14型未満は18ミリ以下、タッチパネル搭載機はプラス2ミリまで可)があるため、ほとんどの製品はユーザーによるバッテリーの着脱が行えず、メモリやストレージの増設や交換もできない。ユーザー自身によるメンテナンスが事実上不可能な場合が多いことは、中上級者にとって従来型のモバイルノートPCより不便だろう。

 個人的にUltrabookは1~2年で使い倒しつつ、最新機種を短いスパンで買い替えていくのも悪くないが、一部の法人向けモデル以外でも、こういうメンテナンスに関する部分をしっかり確保した製品を見てみたいものだ。

鈴木雅暢による2012年を代表するノートPC“10選”(記事での登場順)

・15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル(アップル)
・LaVie Z(NEC)
・dynabook R632(東芝)
・ZENBOOK Prime UX31A(ASUSTeK Computer)
・ThinkPad X1 Carbon(レノボ・ジャパン)
・Floral Kiss/FMV LIFEBOOK CH55/J(富士通)
・VAIO Duo 11(ソニー)
・TAICHI21(ASUSTeK Computer)
・XPS 12(デル)
・LaVie X(NEC)

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]【関連記事】 Air、VAIO、Ultrabook……:私的ランキングで振り返る2011年のノートPC VAIO Z、MacBook Air、そして……:2010年を彩ったモバイルノートPC
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